アウトドア製品の誤った使い方、マンションの壁崩落って同情の余地なし
カセットボンベ5本爆発、マンション壁崩落 京都
12日午後7時45分ごろ、京都市北区小山西元町、鉄骨3階建てワンルームマンション「キュービックハウス」の3階付近で爆発が起き、一室(約20平方メートル)の北側壁面が崩れ落ちた。この部屋に住む建設業手伝い、阪部一夫さん(35)が手足に軽いやけどをした。京都府警は、カセットボンベ5本を使った装置が破裂したとみて調べている。
北署によると、装置はボンベ5本を連結させ、ガスストーブとカセットコンロに二股のチューブでつないであった。装置は市販のものとみられる。壁は高さ2.5メートル、幅4メートルにわたり崩落。阪部さんは「ストーブをつけたまま寝ていた」と話しているという。
こんな感じでつないでいたらしい。
これがカセットボンベを5連結する製品
今は廃盤のイワタニ カセットガスパワーユニット CB-PU5S
ガス器具を作っているイワタニ製、結構メジャーなアウトドアメーカーの一つなんだけど、一歩使い方を間違えるとこんな大惨事になってしまう。
こういう使い方をしたバカが一番悪い、そして想定外な使い方をされたメーカーには気の毒だがご愁傷様としか言いようが無い。
爆発にいたる経緯は推定だがこんな感じだろう。
① カセットボンベは容積が小さいから、ガスに火をつけて燃やすと、すぐにドロップ ダウンして火力が弱くなる。
※ ドロップダウン
カセットボンベに充填された液化ブタンが気化するときに熱を奪われて
カセットボンベが冷たくなるため、気化し難くなる。
結果として火力が弱くなる。
ちなみに、家庭用のプロパンガスでドロップダウンが起きないのは、
ボンベの容積が大きいため、少々使ったぐらいではボンベが冷たく
ならないから。
② そのため、ガスボンベを暖めるため、ストーブの輻射熱があたる位置にガスボンベを置く。
③ ストーブの熱でガスボンベが暖められてカセットボンベ内のガス圧が高くなり、ガス漏れが発生する。
④ ストーブの火がガスに引火して爆発する。
アウトドア器具を室内に持ち込むだけでもバカの極みだが、それをこんな集合住宅でやるとは。
僕自身アウトドアが好きなので、こういうバカが間違った使い方をすると、役所に訳のわからない規制をかけられて、今まで問題なく手に入っていた道具の販売ができなくなり入手が難しくなる可能性があり心配だ。
アウトドア製品は軽く小さく作ることが宿命なので、大掛かりなセーフティは付けられない。代わりにフィールドが外であり何か問題があっても比較的被害が出にくいこと、そして使う人が安全に注意することにより販売が許容されていると考えている。
例えば、ポケットに入る大きさのシングルバーナーに家庭用コンロに付いている「立ち消え安全装置」を付けるように規制されたら、大きくなりすぎておそらく存在価値自体が無くなってしまう。
当然、売れるはずがない。
シングルバーナー:イワタニカセットガスジュニアバーナー2
本当に日本の役所はやりかねないので心配だ。
ところで、カセットボンベよりもっと危険なのは、ガソリンや灯油を使うコンロやランタン等の製品の類。
こちらは、着火してから炎が安定するまでガソリンや灯油が周りに飛び散るので危険である半面、ドロップダウンが起きないため、ガスが使えないような寒いところで使えるので山屋にとって必需品になる。
バイクツーリングする人は、燃料をバイクのタンクから抜いて使用するなんてことも出来る。
ガソリンストーブ:ドラゴンフラウイ
もし、このガス爆発を起こした人がガソリンを使う製品を知っていたら、おそらく火災になっていただろう。